仕事と子育ての両立

女医家庭 医師夫の家事参加を促す方法〜(2)ノウハウ編〜

前回の記事で

医師夫婦の家事分担の実情について書きました。

女医家庭 医師夫の家事参加を促す方法〜(1)医師夫婦の家事分担の実情〜

今回はその続編です。

本記事を書いている人

 Lilyです。

妻(私)産婦人科医、夫 外科系医師の夫婦歴約20年です。

家事分担は現在のところ、妻60%、夫40%くらい。私の方が家にいる時間が長いので、私の方が負担が少し大きくなっていますが、家事分担率に特に不満はありません。

子供が小さい時は妻の家事負担が多く、家庭崩壊しそうになりましたが、色々と試行錯誤し、環境にも助けられ、最終的には夫婦円満に、それぞれ自立して仕事、家庭生活を満足して送れています。

ちなみに、妻の家事分担割合が58%の時が、妻の幸福度が最大だそうです!

こちらの記事

そんな私が20年のワーママ女医経験から、体験したり周囲から聞いたこと、調べたことなどを参考にお答えします。

もし医師夫が家事育児を担当したら・・・

夫の家事参加を考える前に、夫婦の役割を全く交代してみてはいかがでしょうか?

実際、私の夫はフラットな考えの人で、もしそんなに仕事がしたいなら、自分が勤務を抑えて家事育児を担当し、私がフルタイムにするよう交代するか?と言われたこともあります。(夫は、実際私がそうすると思ってないから、言えたのかもしれませんが)

私も、もしそうしたらどうなるか?を考えたこともあります。

結論としては、・・・・嫌だ。私が育児をしたい。・・・でした。

子育てのこだわりは、皆それぞれ違うと思いますが、私自身は、子供が小さい時に一緒にいてできる事をしてあげたいという気持ちが強かったです。そういえば聞こえがいいかもしれませんが、教育ママだったのでしょう(笑)この時期になるべく子供と関わって、自分の時間を犠牲にしてでも、子供を優先し、自分の思うように育てたい、という思いが強い方でした。それが良いか悪いかは別にして・・・。

対して、夫は「放任」タイプ。まずは自分の事優先で、「子供は放っておいても勝手に育つ」と思っていました。・・・夫がそう言う時に、「私が育ててるからだ」といつも反論していましたが(笑)

そんな夫に子育てを任せたら、非常に伸び伸び育って、その方が良かったのかもしれませんが(笑)、当時の私には「この人に任せておけない。任せると後悔する」と思えていたのです。

となると、自分が仕事をセーブしているのは、夫のせいではなく、自分(・・・というか、自分のこだわり)と子供のためと言うことがハッキリしました。こだわりのある方がするしかないです。

むしろ、自分と子供のために、夫が仕事で出世して、稼いできてくれる方が助かる、と言う気持ちに変わりました。

それがハッキリすると、私が家事育児と仕事の両立でめちゃくちゃ大変なのは、私自身が子育てを大切に考えており、私が子供に出来るだけ関わりたいと私自身が選択したからだ、という認識になります。夫が手伝ってくれないからではありません。

むしろ私にしてみれば、こんなに子供が可愛くて大事な時期に、子供と一緒に過ごせないなんて夫が「かわいそう」という見方に変わりました。「私は子供と関われて良かった!」と思うようになりました。

やはり、夫婦共働きであっても、子供にとっては、自分に寄り添ってくれる養育者が誰か必要なことには変わりないと思います。どこまで手をかけるかは、家庭の状況によってそれぞれ違うとは思いますが、私自身は自分の悔いのないようにできるだけ自分の手で子供を育てたいという思いが強かったです。

それでも医師夫にもう少し家事をして欲しい〜夫の家事参加を促す方法〜

具体的な方法

私が家事育児+仕事、夫が仕事中心というスタイルに納得していましたが、それでも全体容量が大きいので、日常生活をもう少し楽に乗り切るために、夫の家事育児協力は欠かせません。 

まず、毎日の家事育児を書き出してみるといいと思います。その中で自分が負担になっていることをリストアップします。

夫が多忙の場合、その全てを任せることは不可能でしょうが、夫の現在の生活スタイルでやろうと思えばできなくはなさそうなことをピックアップします。

私の場合は、毎日の洗濯をしてもらいたいと思いました。

夫は平日、ほとんどが午前様。私と子供が寝た後の時間に帰ってくるので、毎日私が寝る前に洗濯機のスイッチを入れる。帰ってきたら夫が干す(部屋干し)を習慣にさせました。

こんなことを話すと、「Lilyさんのとこはいいですよね。うちの夫は何もしてくれない。」と言われることもあります。確かに夫婦の状況は家庭によって違うのかもしれませんが、まずお尋ねしたいのは、「ご主人にして欲しいことを頼みましたか?」ということです。

夫が妻の大変さを察して自ら何かをしてくれる、ということは通常あり得ません。もしそういうご主人が居られたら、すごいなと思います。

むしろ、下手に手を出して、頼られるのを当たり前に思われたり、ダメ出しされたり、文句言われるのも嫌だから、関わらないでおこう、というのが普通なんじゃないでしょうか。

夫に何かしてもらいたいことがある時、私は「できるだけ具体的に頼む」ようにしていました。「指示する」状態だったかもしれません(笑)

余計な感情は抜きにして、ビジネスライクにしてほしいことを、具体的なやり方を示して頼むのです。仕事で、同僚や部下にするのと同じように。

夫が手を出さないのは、「やり方がわからない」とか、「何を求められているのかわからない」からだったりしますので、それが続くと、「自分はやらなくていいんだ」というのが当たり前になってしまいます。妻は察して欲しいと何も言わないでいると、どんどん不満が溜まってしまいます。

より具体的に頼むのも大切です。

「洗濯やっておいて」

ではなく

「帰ってきたら、悪いけどお風呂入る前に、洗濯機の中に洗濯した洗濯物があるから、これを〇〇に干しておいてね。」とか

自分はできて当たり前のことでも、夫にしてみたらやり方がわからないので面倒に感じることもあります。できるだけ、わかりやすく具体的な指示をします。

そのうち、できるようになったら、そんな指示はいらなくなりますが、夫が完全に習慣化して何も言わなくてもできるようになるまで、根気よく置き手紙をおいたり、メールで連絡したり、毎日のようにしつこく(笑)お願いを伝えていました。

一度、私から夫へのメールをたまたま見た夫婦共通の友人である男性が、

「夫婦の会話じゃないみたい。仕事みたい。」

とちょっとひいてました(笑)。確かに、夫婦のやりとりというか、家事についてはビジネスのやりとりみたいだと思います。今でも。

「いつも私ばっかりやってるんだから、たまにはやってよ」

「言わなくてもわかるでしょ」

などと感情的な言葉は吐かずに、淡々とビジネスライクに具体的な指示を伝えて、断る旦那さんはそんなにいないんじゃないかな?と思います。仕事だったら、そんな感情的に言い合いませんよね(笑)

おそらく断るときは、本当に物理的に「できない」時だと思います。

そういう時は毎日午前様の中で、洗濯をしてくれるだけでも、ありがたいことだ、それ以上求めるのはキャパオーバーと思い、できる時に少しでもしてくれるだけでも感謝!と考えるようにしていました。

こうして書いてみると、子育てと一緒かもしれませんね(笑)夫も子供だと思って(笑)できて当たり前と思わないほうが、精神衛生上いいと思います。

それを続けていくと、最初は洗濯を干すだけだったのが、気づいたら洗濯を回すようになり、乾いた洗濯物を取り分けるようになり、今では家にいる時の洗濯はほぼ夫担当になっていますので、大変助かります。しばらく出張などでいなかったりすると、大変に感じて、早く帰ってこないかな〜なんて思ってしまいます(笑)

 

自分のことは自分でする

その他には夫に基本的に自分のことは自分でする、ということを当たり前にしてもらっていました。

例えば、食事の準備でお皿を運んだり、食べた後の食器は自分で流しに運んで食洗機に入れるということは習慣になっており、それを見て育ったうちの子供たちもそれが当たり前になっています。それだけでも、母一人が小間使いのようにみんなを接待するのではなく、皆それぞれ、自分のことは自分でするのが当たり前という環境を作り出すことになり、母の負担は激減です。

それも、最初はお願い(指示)です。具体的なやり方をやって示すとともに。夫自身が自分のやりたいやり方がある時は、それでOKで任せます。相手にやってもらおうと思うことは、できるだけこちらのこだわりは捨てます。

その他にも意外と手間がかかるのが、仕事関係、親戚関係とのお中元やお歳暮、それに伴う礼状などのやりとりです。そういった、通常、昔から「妻の仕事」とされがちなことも、それぞれ自分の関係者には自分で対応するようにしています。

これは、早いうちにこのようなスタイルにしていて本当によかったと思うのは、夫の立場が上に上がれば上がるほど、やりとりをする相手がどんどん増え、今やとても大変な状況になっているのですが、夫はどんなに多忙でも全部自分で対応しています。

時には医局の秘書さんに頼んだりしています。秘書さんにはちゃんとお礼をしているようです。妻がやるものにしてしまうと「当たり前」にされてしまい、きっとお礼なんてもらえませんよね(笑)

もしかしたら、「これくらい当たり前じゃない?うちの夫はもっとやってくれる。」という人もいらっしゃるかもしれません。特に現代はうち以上にフラットな関係の夫婦も多くなっていると思いますので。

ただ、私も夫もそれぞれの親は昔ながらの父が働き、母が専業主婦でしたので、それを覆して自分達のスタイルに持っていくのは、私にとっては結構なチャレンジでした。

家事を見直す

家事の容量

それでも夫ができない時、または負担が軽くならない時、それは家事の容量ができるキャパシティを超えているからだと思います。

勤務医は仕事だけでかなりの容量ですので、そんな夫に家事を求めるのはそもそも難しいことかもしれません。

最初にまず、家事の必要性を見直すのが大切と思います。

そもそもその家事は必要なのかどうかということです。

海外で生活した時、洗濯物を干すという作業が家事から消えました。海外では干す文化がないので、アパートに物干しがなかったのです。アパートに大容量の乾燥機が設置してありましたので、洗濯物は全て乾燥機にかけることになりました。その時に感じたことは、

楽!!!

でした。洗濯物って干さなくてもいいんだ〜!というのが新たな発見でした。

今でもうちでは、シワになっては困るものだけ干して、残りは乾燥機を使用しています。ドラム式洗濯乾燥機を使用していますが、10年前と比べて乾燥機の性能がとても良くなっているので、タオルなどはふわふわになり、干すよりもいい仕上がりです。

 

なんとなくしないといけないと思っていた家事も実は、しなくても回るということがよくあります。日本の主婦は総じて、家事をしすぎているように感じます。

お弁当へのこだわりしかり。海外の子供達のランチボックスの簡単さを見て驚きました。ハムとチーズを挟んだだけのサンドイッチ(パンの耳はついたまま)とフルーツ(それも切ったりしたのではなく丸ごとりんご!)とか。とっても簡単!

なんで、私今までこんなに頑張ってたんだろう・・・?と思いました。日本人のお弁当はBentoと言って、海外では芸術的に見えるようです(笑)そんな芸術作品を、忙しい中毎日作ってる日本のママ達ってすごいですよね〜!

日本の良い文化なのかもしれませんが、なんとなくしなきゃいけないと思っていた家事を見直し、自分流に絶対しないといけないもののみに削ぎ落としていくことも、共働き夫婦には必要なのではないかと思います。

 

便利機器に頼る

また、今の共働き家庭では当たり前になっているかもしれませんが、食洗機、ルンバ、ホットクックなどの、便利家電がどんどん増えています。

ルンバは北米に住んでいた時に出会いました。

その当時は200ドルちょっとくらいで、帰国時に買って帰りましたが、今はもっと高性能(かなり高額になってますが)なものが出ていますね〜!我が家もそろそろ新調したいです!

ルンバ j7+ ロボット掃除機 アイロボット障害物を回避 物体認識 自動ゴミ収集 wifi対応 マッピング 自動充電・運転再開 吸引力 J755860 Alexa対応

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私も愛用しています。↓

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コロナ禍になり、祖父母の助けも借りれなくなり購入しました。これ一台で、お手伝いさん1人雇ったような働き!!と感動しました。

これが子供が小さい頃にあったら、かなり違ってただろうなぁと思いました。

家電のコストを考えても、仕事を続けたい女医は買って損はないと思います。

 

家事動線

それから、家事動線の見直しです。

子供が小さい頃は狭い家でよかったと思います。特に地方の医師家庭は転勤族がほとんど。下手したら数ヶ月から1年おきに転勤を命じられることもあります。なので、実際そんなに広い家に落ち着くことはないかもしれませんが、狭い家の方が家事動線が短く、掃除するスペースも少なくて済み、断然良かったです。

我が家は、子供がある程度大きくなった時期に、やっと転勤の波も落ち着きそうだったので、一軒家を新築しました。小さな家は動線が短くてよかったのですが、新築の場合は自分が使いやすく家事動線を最小限にする間取りを考えましたので、それはそれでよかったです。しかし、子供が幼児の時と、大きくなってからでは、欲しい間取りが全く違っていただろうなと思います。また子供に汚されることなどを考えると、小学生以上になって持ち家になって良かったかなと思います。

また、そもそも職場、保育園、自宅の三角形の移動、つまり生活動線を出来るだけ小さくするのも重要です。

自宅近くに保育園があると、いったん家に帰って子供がいないうちに出来る事をすませて迎えに行ったりもできます。その時間たった10分でも、お迎えまでワンクッションおけるだけで、随分と違います。

 

それでもキャパオーバーで当たり前

夫に頼めることを頼んだり

家事を合理的にこなすノウハウを駆使したりしても

それでもキャパオーバーで当たり前だと思います。

そんな時は、頼れる周囲の人にたのんだり

家事代行を利用しましょう。

ここでかけた費用は

仕事を続ければ後で何倍にもなってかえってきます。

自分が壊れずに、キャリアを中断しないための必要投資です。





 

私に影響を与えた人

このような家事を合理的に縮小するノウハウや

自分だけが頑張りすぎず周囲に上手に助けを求めるノウハウは

若い頃に勝間和代さんの本を読んで衝撃を受け、実践し始めました。

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当時読んでいた本ですが、とても懐かしい。

今も、いろいろな家事本を出されていますね。


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非常に励まされながら、ワーママを続けよう!と頑張っていました。

私は職場にロールモデルがあまりいなかったので、こうしたワーキングマザーのノウハウをインターネットや書籍で探し回りました。

ネットで子育て女医のあつまる掲示板をのぞきに行ったり、あらゆるワーママさんの先輩や仲間を探しました。

そうして得られた家事を合理的に行い、夫とアサーティブなやりとりをしてこちらの要望を聞いてもらう技術を身につけたことは、仕事にも活かせるものと感じています。

アサーティブというのは勝間和代さんの本から学びました。

assertive: 過度に攻撃的にならず、かといって防御的にもならず、うまく自分を表現すること

自分さえ我慢して頑張れば全てうまくいくのではないのです。

そのような無理はいつか爆発したり、どこかに綻びが出てしまうと思います。

自分が頑張りすぎて壊れる前に、上手に周囲に協力を依頼する技術は自分を救うだけではなく、周囲に自分を助けるチャンスを与えることになります。

周囲も私が困っていたら助けたいと思ってくれているのです。私が周囲にそう思うように。

 

大変だったけれども、こんな技術が身につき・・・全ては無駄ではありません。

・・・こんなことを書き始めると長くなりますので

今回はここまでにさせていただきます。

次回は、それでもキャパオーバーになる女医自身の心の持ち方についてや、我が家の反省点、今後の展望などを書いていきたいと思います。

お読みくださりありがとうございました。

 

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